急須の形ができるまで

四日市には古くから、粒が細かく

粘性と耐熱性のある土がありました。

そんな土の性格を生かして、

急須が作られ始めました。


弊社は、元々「製土業」として創業しています。

土も、独自の配合のものを使います。


まずはパーツの成形。

「胴体、蓋、持ち手、注ぎ口、茶漉し」

急須は5つのパーツに分けて作られます。

主に「動力成形」という「型」と「コテ」を

用いた成形方法です。


「機械ロクロ」とも呼ばれる動力成形は

簡単そうに見えて、習得に何年もかかる作業です。


石膏型には、型屋の技術が密かに込められています。

手作りの「金属のコテ」と型の微調整を終えると

丹念にパーツを整形していきます。


それぞれの土の性質と、具合に合わせ

回転する型とコテの間で、動く土を導くように。

効率は少しいいけれど、

見抜いた癖や気温や湿度に合わせて

コテに伝える力を変えたり、

手間は意外と変わらずなのです。


仕上がったパーツを程よく

乾燥させたら、次の工程。

型では表現できない、繊細な曲線を

「削り出し」形作っていきます。

蓋のつまみも、削り出すことで

成形されます。


また、表面全体を削り整えることで

美しいロクロ目が素材を引き立てます。


「共茶漉し」と呼ばれるパーツは

薄く伸ばした土をドーム状にし

80個以上ある穴を、一つ一つ開けていきます。

熟練した技術を要する作業です。

それぞれのパーツが仕上がると

いよいよ接合。

水で溶いた土を刷毛でパーツの

淵に塗ってそっとくっつけます。


それぞれのパーツに高い完成度を

要し手作業で接合する

すこし神経質なこの工程。

単純なようでごく限られた

窯元だけが採る技法です。

接合を終えた急須は、

いよいよ窯へ。

素焼きを経たら本焼成。

でもその前に、最初の検品です。


濡れたスポンジで表面の汚れを拭い、

傷を取り除きます。

一度窯に入ると手直しができない、

実はとても大切な作業です。

そうして焼きあがった急須は、
蓋と胴体がぴたりとくっつき、

唯一無二の関係に。


少し叩いて蓋を外したら、

高速で胴体と蓋をすり合わせて、

さらに、ピタリと収まるように。


こうして完成するまでに、

およそ1ヶ月の道のりです。

おわり

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